コラム #2

コラム #2

 

始まりの物語

どんなシャンプーを使っても満足な仕上がりが得られない。そして自分を洗う一方で、流す排水が分解しきらず生態系に負荷をかけ続けていることに気付いた時、それまで使い続けてきた「ナチュラル」「オーガニック」「ヴィーガン」「認証マーク」等様々な目印やパッケージによって惑わされていたことにも気が付きました。

慎重に選んで使っても、私たちは満足な結果を得られないままいました。

それと並行して異常気象による災害が頻発して、各地に被災地が生まれます。災害で住まいを奪われる、汚泥、感染症、害獣被害、熱中症、豪雨、豪雪、山火事、地上で起こること全てが、私たちの営みと繋がっていることも、ずっと気がかりで過ごしていました。

 

2020年には、様々調べたり、準備を始めました。

日本人の7割は、毎日お風呂に入り、1日に12回洗髪をしています。気候の特色もありますが、世界の先進国の洗髪のスタンダードは2日に1回。日本人の一般家庭から出る生活排水の4割がお風呂場から出ていて、生活排水の中で占める割合が最も多いことが分かりました。

環境に循環するのは、調べていくと石油由来成分が入らない石けんシャンプーだと分かってきました。石けんシャンプーは使い心地の悪さや古臭さから、私たち消費者からは遠のいていました。

ひとりひとりが具体的、主体的に消費活動を変えるべき緊急性を感じ、「地球に還るシャンプー」をコンセプトに、化粧品業界とは縁のなかった私たち夫婦が思う、理想のシャンプーを作ろうと、具体的に動き始めます。

 

理想のシャンプー

①使い心地・香りが良く豊かさ・幸福感を感じられること ②生分解性が高く環境配慮が叶うこと
③自然環境を汚さないこと ④国内製造・原料調達が叶うこと
⑤心身が健康になること ⑥雇用を生みだすこと・地域活性化に繋がること
⑦お客様と信頼関係を築く企業であること ⑧髪の健康が実感できること
⑨エネルギーロスが少ないこと ⑩人に幸せが廻ること

 

私たちが理想のシャンプーとして掲げたのは、泡立ちでも、つるっとした仕上がりでも、オシャレさでもなかったなと、初代のコンセプトシートを開いて改めて確認しました。

 

上記全てを網羅できるシャンプーは完全には無理だと、打診したいくつかの製造工場には開口一番断られました。

①を求めると、②③は叶えられないと。

化学物質を使えば、一律同じものが容易にできて、大量生産が叶います。それでは、既にある他のシャンプーと変わりなく、自分たちで始める意味も価値も見出せませんでした。

シャンプー難民のまま過ごす以外にないのか、という絶望感を感じていた時に、ただ1軒、使い心地の悪い石けんシャンプーを何とか改良出来れば全て叶えられますよ、と言ってくれた製造工場がありました。南大隅町のボタニカルファクトリーです。

 

石けんシャンプーは私たち自身も使い心地の悪さを感じていましたが、仕上がりがこれまでにないほど良い面も知っていました。

石けんシャンプーでなければ②③⑤⑦⑧⑩は叶えられない。

使い心地を良くするためには、微量でも化学物質を添加するのがスタンダードです。

(石けんシャンプーはアミノ酸系シャンプーなど、私たちが昨今使い慣れているシャンプーとは性質が異なるものできしむため、「きしまない石けんシャンプー」というものには化学物質が入っていると考えて良いと思います。)

 

石けんの成分(弱アルカリ性)で毛髪と頭皮を洗浄し、キューティクルは開きます。そのキューティクルにクエン酸(酸性)配合のトリートメントやリンスをつけて、中和させるという化学反応で、キューティクルを元に戻し整えて使います。

キシミを隠し、化学物質を添加してモコモコに泡が立って使い心地の良い石けんシャンプーは、私たちの望むものではありませんでした。

妥協はせず、できる限りキシミを抑え、私たち夫婦が使い続けられるものとしてGOサインを出せたものが、Kruhiのボタニカル石けんシャンプーです。

 

Kruhiボタニカル石けんシャンプー

私たち自身が、理想としたシャンプー。

他にはない、石けんシャンプーの最高峰です。

 

髪の健康が実感できて、環境にも配慮する、使って幸福感を感じられる、人にも地球にも循環するシャンプーへのこだわりは、私たち夫婦だけが求めることなのか、他の人たちも求めることなのかは、ずっと不確かでした。それでも私たちだけではないはずだと確信と希望を持ってKruhiをスタートしました。

ブランド側が「良い」と言って売るのは当たり前、そしてそういうものが数多とあります。私たちは、化粧品のバックグランドもなく、ただただ自分たちの満足のいくシャンプーとして価値と意義、意味を見出していましたが、Kruhiの良さを伝えるためには公平な第三者機関にも査定してもらうべきとの思いから、まずは生分解性確認試験に出すことにしました。確認試験は5日間です。

分解に時間がかかること=生態系に負荷をかけること。

結果は、私たちの予想以上に分解が早く進み、生分解性は5日間で98.9%でした。

 

発売をしてみると、こんなシャンプーを探していた、と共感してくださる方が多くいて、自分たちが眉間にしわを寄せて不満感たっぷりに髪を洗っていた時に、同じように悩みを抱えていた方がいたことを知りました。

 

発売をスタートした直後、サステナブルコスメアワード(通称サスコス)の存在を知りました。エントリーした製品が、サステナブル=持続可能なのか、を問う審査です。

Kruhiは「地球に還るシャンプー」をコンセプトに設計をしました。Kruhiにとっては、生分解性確認試験に続く2回目の確認試験です。ただ自分たちがほしいもの、突き詰めた自分たちのこだわりを、第三者機関であるサスコスに審査をしてもらえたことは、自分たちの独りよがりではないKruhiの価値も見出すことができました。

<自分たちのコンセプト(正義)・価値・ブランド>を、2種類のエントリーシートに沿って質問に回答し、審査していただきます。

 

Kruhi202210月に発売をスタートし、サステナブルコスメアワード2022で、最高賞のGOLD賞を、シャンプーとトリートメントの2製品で同時に受賞しました。

翌年2023年に発売を開始したスキンケアバームも、確認のためサスコスにエントリー。こちらについてもGOLD賞を受賞しました。

 

私たちは、Kruhiがサスコスに提出したエントリーシートを公開します。

「サステナブル」の観念は、それぞれ違って良いと思っています。

Kruhiは、異常気象を実感しています。地球の存続、生命の存続への懸念まで生まれる中、これまでと同じ消費や製造活動は続けてはいけないのではないかと考えています。洗い流すものが生態系にかける負荷について、一人一人が改善策を見つけて行動すべき緊急性を感じています。(それと同じく大切にしているのは、使って楽しい、良い実感がある、幸福感があることです。)

また、地域課題解決に繋がる原料調達や、都市部に集中してしまっている雇用の解決、廃棄ではない農作物の活路等。幸せが循環するものづくりが、企業としての使命だとも考えています。

一歩が小さくても始めていくこと、続けていくこと、拡げていくことが大切だと信じて、創業の思いを忘れず、引き続きKruhiを続けていこうと従業員一同努めています。

 

 Kruhiサスコスエントリーシート

Kruhi